折爪岳について

折爪岳は、二戸市・軽米町・九戸村にまたがり、北上山地の北端に位置する標高852.2mの独立峰です。

1775年頃の「(ほう)内郷村(ないごうそん)()」には「山上に馬場あり」と記載され、馬の放牧地として利用されていたようです。昭和の時代には、県の経済林などとして植樹と伐採が繰り返し行われてきました。

平成に入ると、県立自然公園・森林公園として、山頂周辺にキャンプ場や遊歩道などが整備され、ヒメボタルの観賞など自然を楽しむ山として現在に至っています。

折爪岳の特徴としては、以下の四点が挙げられます。

  1. 「やませ」が吹き込み、一年を通して冷涼で湿潤な気候が保たれている
  2. 水が豊富で、山頂でも湧き水が出る
  3. 北上山系の北端に位置する独立峰で、周囲より高く、山頂には多くの電波塔が建っている。
  4. 100万匹(※)のヒメボタルが生息している。

そのほか、ミズナラ林を抜ける遊歩道や、360°のパノラマが広がる山頂展望台など、見所が一杯の折爪岳をお楽しみください。

※100万という数字について…
折爪岳の標高600m以上の範囲で、繁殖期に光りながら飛翔するオスの個体数を植生タイプごとにカウントした結果と、各植生タイプの面積から、80万匹という数字が出ています。地上付近で光るメスが同数いるとすると、合計は優に100万を超えてしまいます。しかし、未だに正確な数はわからないので、少なくとも100万匹はいるだろうという言い方をしています。

ヒメボタルの生息環境について

折爪岳の山頂付近は「折爪岳のヒメボタル生息地」として、2018年4月に岩手県の天然記念物指定を受けました。環境条件がヒメボタルの生息に適していると考えられ、その構成要素は大まかに三つに分けられます。

一つ目は「落葉広葉樹森」です。
ミズナラやブナなどの落葉広葉樹が生い茂り、飛行能力があまりないヒメボタルを風から守っています。

二つ目は「気候」です。
太平洋側から吹き込んだ「やませ」が山体にぶつかり、森に湿気をもたらします。ヒメボタルの幼虫にとっても、ヒメボタルの餌となる陸産貝類にとっても、適度な湿気を含んだ落葉層は好ましい環境です。

三つ目は「陸産貝類」です。
種数、個体数とも豊富な陸産貝類が生息し、大量のヒメボタルを支えています。

地域の人々が守ってきた100万匹のヒメボタルが棲む折爪岳。
折爪岳のヒメボタルの特徴を見ていきましょう。

ヒメボタルの生態・特徴

日本でホタルといえばゲンジボタル、ヘイケボタルという水生ホタルが有名ですが、ヒメボタルは陸生のホタルです。日本在来種であり、優れた自然環境の指標として岩手県レッドデータブックのDランクに位置付けられています。

折爪岳での生息数が多いのは、中腹600mから山頂にかけてであり、特に山頂周辺で最も多くなっています。

1.分類

ヒメボタルの学名はLuciola parvula Kiesenwetter であり、コウチュウ目ホタル科に属する昆虫です。コウチュウ類を特徴づけるのが堅い上翅ですが、ホタル類やその近縁のグループ(ホタル上科)は、柔らかい上翅や体を持つ点が特異的です。

2.習性・特徴

ヒメボタルは生涯を陸上で過ごす陸生ホタルです。幼虫期は餌としてオカチョウジガイなどの陸産貝類のほか、最近の調査ではミミズなども食べて生活していることが分かってきました。

成虫には下記の特徴があります。

  • この仲間としては小型で6~9mmほどである。東日本のものは西日本より大型で、両者には発光する時間帯や発光間隔に違いがある
  • 体は小さいが頭部は大きく、そのほとんどを複眼が占めている
  • 触角はやや短い
  • 頭部と腹部は黒色、前胸は淡赤褐色で黒紋を持つ個体が多いが、変異が大きい。黄白色の腹部後方が発光器で、オスは2節、メスは1節である
  • オスは活発に飛翔するが、メスは後翅が退化し飛翔できない。オスに比べてメスはずんぐりとした体型をしており、動きも鈍い

ヒメボタルは生活史の全ステージを通じて発光します。
幼虫や蛹の発光は微弱ですが、成虫のオスは強く発光し、ほぼ同じ大きさのヘイケボタルより明るく、フラッシュのように点滅するのが特徴です。

メスの光はオスよりかなり暗く、夏の夜に光りながら飛翔しているヒメボタルは、全てがオスです。発光は繁殖のためにしていますが、強い光を受けると発光をやめてしまい、繁殖に影響を及ぼす可能性があります。

図1

3.ヒメボタルの生活史

折爪岳のヒメボタルは、図2のような生活を送っていると考えられています。

図2

しかし、何年で蛹になるのか、冬の間どうやって過ごしているのかなど、不明な点が沢山あります。生活史を知ることで、保全方法を探ることができるため、今後も継続して調査を行っていきます。

ヒメボタルの見ごろは?

折爪岳のヒメボタルは、例年7月10日~20日頃に発生が多くなります。
(天候等によって多少前後することもあります)

大体19時30分頃から飛翔と発光が始まり、20時頃に多くなります。山全体では100万匹のヒメボタルが、互いに惹かれ合い光を放つ幻想的な風景をお楽しみください。


観賞の様子(2021年フォトコンテスト受賞作品紹介)

調査結果報告書について

折爪岳振興協議会は折爪岳に生息しているヒメボタルについて、調査を実施しています。

その結果明らかになった調査結果の資料を掲載しております。

平成25年度平成25年度-調査結果報告書(PDF)
平成26年度平成26年度-調査結果報告書(PDF)
平成29年度平成29年度-調査結果報告書(PDF)
平成30年度平成30年度-調査結果報告書(PDF)
令和1年度令和1年度-調査結果報告書(PDF)
令和2年度令和2年度-調査結果報告書(PDF)
令和3年度令和3年度-調査結果報告書(PDF)

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